ポケモンカードの売却に税金はかかる?確定申告が必要なケースを税理士が解説【全トレカ対応】

監修 税理士 有馬 誠治

ポケモンカードや遊戯王カード、ワンピースカードなどのトレーディングカード(トレカ)は、国内外で幅広い世代に親しまれています。なかでも1996年に発売されたポケモンカードは、2026年の30周年記念パックの販売を契機に、コレクション市場がさらなる盛り上がりを見せています。

そんなブームの中、昔購入したポケモンカードや遊戯王カードを買取店に査定に出したら、数万円から数十万円という高額査定にビックリしたという方も多いのではないでしょうか。

うれしい半面、気になるのが「税金はかかるのか?」「確定申告は必要なのか?」という点です。

実は、トレカの売却益にかかる税金は、どのような目的で購入したか、どのような売り方をしたかによって取り扱いが大きく変わります。

この記事では、トレカを売却したときの税金の区分、確定申告が必要になるケース、非課税になるケース、そして申告しなかった場合のリスクまで、税理士がわかりやすく解説します。

 

トレカ売却の税金は「購入目的」で変わる

トレカを売却して利益が出た場合、その利益がどの所得に区分されるかは、購入時点で売却を予定していたかどうかが大きな分かれ目になります。これはポケモンカードでも遊戯王カードでも変わりません。まずは全体像を整理しましょう。

トレカ売却の税金の全体像
売却のパターン所得区分ポイント
値上がり益を目的に購入・売却を繰り返している雑所得(事業的規模なら事業所得)会社員は年間の売却益20万円超で原則、確定申告が必要
たまたま購入できたカードを高額で売却した譲渡所得(総合課税)50万円の特別控除あり。所有期間5年超なら税負担がさらに軽減
売る予定のなかった思い出のカードを売却した非課税(生活用動産)又は譲渡所得(総合課税)保管状況や売却額30万円以内かどうか等で総合的に判断

*スライドすることで表の全てが読めます。

それぞれのケースについて、詳しく見ていきます。

売買を繰り返している場合は「雑所得」として課税

ここ最近のトレーディングカード市場の拡大に伴い、希少価値の高いカードを目的として、定期的に購入や売却を繰り返している場合は、雑所得または事業所得として課税対象となります。

雑所得と判断される主なチェックポイント

購入から売却までの取引全体を通して「値上がり益を目的として購入している」と考えられるケースでは、雑所得となります。具体的には次のような状況が判断材料になります。

雑所得として課税されるケースの判断基準:
・個人の趣味の範囲を超える買い方をしている(頻繁に購入を繰り返している、BOX単位で大量に購入している)
・短期間に購入と売却を繰り返している
・購入したカードを未開封のまま転売している
・フリマサイトへ大量に出品している
・頻繁に買取業者に買い取ってもらっている

 

参考:国税庁タックスアンサー No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合

会社員は年間の売却益が20万円を超えると確定申告が必要

会社員などの給与所得者の場合、年間の売却益が20万円を超えると、雑所得として原則、確定申告が必要になります。売却額そのものではなく、購入費用などを差し引いた「利益」で判定する点に注意しましょう。複数タイトルのトレカを売買している場合は、その合計で判定します。

事業所得になるのはどんなケース?

さらに、事業的規模(事業と称するに至る程度に購入と売却を繰り返しており、売却益が生活費を構成していると判断される規模)の場合には、事業所得として課税対象となります。

事業的規模とは、生活費に充てるほど売却を繰り返している場合を指しますので、一般的な売買目的で売却を繰り返している場合は、ほとんどが雑所得に該当します。

参考:国税庁タックスアンサー No.1350 事業所得の課税のしくみ

たまたま高く売れた場合は「譲渡所得」として総合課税

カードの相場が高騰していることを知りつつ、たまたま購入できたカードを査定に出して高額で売却できた場合は、短期または長期の譲渡所得として、他の所得と合算する総合課税の対象となります。

所有期間5年がボーダーライン

所有期間による区分
購入から売却までの所有期間が5年以内短期譲渡所得として総合課税の対象
購入から売却までの所有期間が5年超長期譲渡所得として総合課税の対象(所得金額を2分の1で計算)

*スライドすることで表の全てが読めます。

参考:国税庁タックスアンサー No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)

50万円の特別控除と概算取得費の特例

短期譲渡と長期譲渡には、どちらも50万円の特別控除があります。単発の高額転売であっても、売却益が特別控除の50万円までであれば、結果として課税されません。

また、購入価額が不明な場合は、売却額の5%を取得費とみなす取り扱い(概算取得費の特例)もあります。カードの購入価額が安い場合は、概算取得費の特例の適用を検討するとよいでしょう。

計算例:5年超保有したカードを300万円で売却した場合

計算例:
(売却価額300万円 - 取得費15万円(注1) - 特別控除50万円)× 2分の1(注2) = 117万5千円
注1:概算取得費の特例(売却額の5%)を適用
注2:2分の1の計算は所有期間5年超の長期譲渡の場合のみ

 

この117万5千円が給与所得などと合算されて税金が計算されます。5年以内の短期譲渡の場合は、特別控除は適用できますが2分の1の軽減がないため、長期譲渡より税金は高くなります。

相場の変動を気にしないのであれば、税金の計算上は、購入から5年を超えてから売却した方が有利となります。5年を超えて売却したことを証明できるよう、購入時の領収書やカード利用明細を保管しておくようにしましょう。

売るつもりのなかったコレクションは「非課税」になる場合も

子どもの頃にポケモンや遊戯王が好きで趣味としてカードを購入しており、当初は売却する予定がなかった場合はどうなるでしょうか。この場合の取り扱いは、生活用動産の譲渡として非課税になるか、短期・長期の総合譲渡所得として課税されるかの2つに分かれます。

生活用動産として非課税と判断されやすいケース

カードが非課税の対象になるかは、購入の経緯から保管の仕方などを総合的に判断していきます。子どもの頃に遊ぶために持っていたカードを不用品整理の一環として売却した場合は、生活用動産として非課税と判断される余地があります。

非課税と判断されるケースの判断基準:
・開封済みのカードの売却
・通常の保管方法によって保管されていたカードの売却
・不用品整理の一環としての売却
・売却の頻度が少ない
・1枚またはセット販売の売却額が30万円以内

 

絶対の基準があるわけではありませんが、国税庁は金額の基準(30万円)を例示しており、この金額基準も一つの目安となります。

参考:国税庁タックスアンサー No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法

不用品整理でも課税対象になるケース

一方、投資やコレクションの対象として保有していた高額カードは、生活に通常必要な動産に当たらないと判断される余地があり、売却益が課税対象となる場合があります。

譲渡所得として課税されるケースの判断基準:
・未開封のまま保管している
・長期のコレクションとして状態を維持するため厳重に保管されている
・1枚またはセット販売の売却額が30万円を超えている

 

つまり、子どもの頃に遊ぶ目的で購入したカードであっても、状態を維持するために厳重に保管しており、30万円を超える高額査定がつくものについては、保有期間に応じて短期または長期の譲渡所得として課税対象となります。

確定申告をしないと税務署にバレる?

確定申告は自主的に行うものであるため、「バレなければ申告しなくてもいいのでは」と考える人も出てくるかもしれません。しかし、税務署がどのような方法で情報を取得しているのかを知ると、自主的に申告することの重要性がわかります。

税務署はフリマサイトや買取店から情報を収集している

フリマサイトなどの出品情報については、税務署の職員が有している質問検査権を行使して、高額出品を繰り返している出品者の情報開示をサイト開設者に求め、出品者情報を取得しています。無申告案件が判明するケースは、この情報を基に課税されることが多いです。

また、トレカの買取店は警察から古物商の許可を受けて買取りを実施しています。古物商を営む事業者は、買取りの際に取引年月日、取引した古物(品目・特徴・数量・代価)、身分確認の方法、相手方の住所・氏名・職業・年齢を記録する義務があります。この買取情報についても、税務署は質問検査権の行使により開示請求を行い、売却者の情報を取得しています。

無申告のペナルティは10%〜最大40%の無申告加算税

課税されるケースに該当するにもかかわらず故意に確定申告を行っておらず、後日、税務署から指導を受けて申告をする場合には、本来納めるべき税額にプラスして、ケースに応じて10%から最大40%の無申告加算税が課されます。

無申告加算税は、高額な無申告や無申告を繰り返すケースが多いことなどを背景に、2024年に税率が引き上げられました。こうした背景もあり、現在、税務署では無申告案件に対する調査・指導を強化しています。

申告が必要なケースに該当する可能性がある場合は、税務署から指摘を受ける前に自主的に申告することが大切です。無申告の状態を放置すると、無申告加算税や延滞税などの負担が生じるおそれがあります。

参考:国税庁タックスアンサー No.2024 確定申告を忘れたとき

まとめ:高額売却の前に「どの所得になるか」を確認しよう

この記事のポイント:
・売買を繰り返している場合は雑所得(会社員は売却益20万円超で原則、確定申告が必要)
・たまたま高く売れた場合は譲渡所得(50万円の特別控除あり、5年超保有なら2分の1課税)
・売る予定のなかった思い出のカードは、生活用動産として非課税になる余地あり(30万円以内が一つの目安)
・税務署はフリマサイト・買取店から情報を収集しており、無申告には10%〜最大40%の無申告加算税のリスク
・以上の取り扱いは、ポケモンカード・遊戯王・ワンピースカードなど全トレカに共通

 

トレカの売却益の取り扱いは、購入の経緯や売り方によってケースバイケースで判断が分かれます。申告が必要かどうか迷う場合は、税務署から指摘を受ける前に、早めに税理士などの専門家に相談しましょう。

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