白色申告と青色申告で税務調査リスクは変わる?確率と違いを比較|福岡版

監修 有馬 誠治

福岡で事業を営む皆様、日々の業務で「税務調査」のニュースや噂を聞き、漠然とした不安を感じていませんか?

特に個人事業主や法人を立ち上げたばかりの方は、「白色申告と青色申告で、税務調査が来る確率は変わるのだろうか?」という疑問をお持ちかもしれません。

結論から申し上げますと、申告方法の違いは税務調査のリスクに大きく関わってきます。

この記事では、福岡の企業の皆様が抱える「税務調査とは何か?」から、「白色申告と青色申告でのリスクの違い」までを徹底的に解説します。

そもそも税務調査とは?目的と対象者を福岡の事業者が知っておくべきこと

税務調査への具体的な対策を考える前に、まずは基本となる「税務調査」の全体像を理解しておきましょう。

税務調査の目的:なぜ税務署は調査に来るのか?

税務調査とは、納税者(企業や個人事業主)が提出した申告内容が、国税庁が定める法律や規定に基づいて適正に行われているかを確認するために行われる調査です。

主な目的は以下の2点です。

  • ・申告内容の確認と是正:申告書に記載された所得や税額に誤りや漏れがないかを確認し、もしあれば適正な税額に修正させること。
  • ・適正な納税意識の向上:調査を通じて納税者に対し、正確な帳簿作成と適正な納税を促すこと。

税務調査の対象となる事業者と調査の「選定基準」

税務調査はすべての事業者に毎年行われるわけではありません。

国税庁は、過去の申告内容や業界の動向など、様々なデータに基づいて調査対象を選定しています。

特に調査の対象になりやすいのは、以下の特徴を持つ事業者です。

  • ・申告額が急増・急減しているなど、例年と比べて変動が大きい
  • ・同業他社と比較して利益率が不自然に低い
  • ・多額の経費や交際費が計上されているが、その根拠となる帳簿や証拠書類の信頼性が低い
  • ・現金商売の割合が高い業種(売上の除外が起こりやすいとみなされる)

これらの選定基準に加え、次に解説する「申告方法(青色・白色)」も重要な要素となります。

白色申告と青色申告で税務調査の「確率」や「リスク」は変わるのか?

「白色申告と青色申告では、本当に税務調査の確率が変わるのか?」という疑問は、多くの事業者が抱えています。

結論として、青色申告の方が白色申告に比べて、税務調査のリスクは低い傾向にあると言えます。

これは、申告方法そのものが調査の対象選定に影響を与えるためです。

税務調査の「選定基準」から見る青色申告の優位性

青色申告は、白色申告にはない以下の義務を納税者に課します。

申告方法 義務付けられる主な記帳レベル
青色申告(複式簿記) 正規の簿記(複式簿記)による記帳。
最大65万円(または55万円)控除。
青色申告(簡易簿記) 単式簿記など簡易な帳簿による記帳。
最大10万円控除。
白色申告 簡易な帳簿による記帳。

税務当局は、青色申告のうち、特に適正に作成された複式簿記の帳簿は、白色申告の簡易な帳簿に比べて、記載内容の信頼性が高いと判断します。

信頼性が高いということは、申告内容の不正やミスが少ない可能性が高いため、調査対象として優先度が下がりやすいという優位性が生まれます。

青色申告の特典「帳簿の信頼性」がリスク軽減に繋がる理由

青色申告者は、適正な記帳を行うことで「青色申告特別控除(最大65万円)」などの税制上の優遇措置を受けられます。

この特典を受けるために、納税者は日々の取引を詳細に記帳し、証拠書類を整理する必要があります。

つまり、青色申告者は、特典を受けるために行っている日々の「正確な記帳と整理」こそが、税務調査における信頼性を高め、結果的に調査リスクを軽減することに繋がっているのです。

白色申告でもリスクが高まる具体的なケース

白色申告は記帳の負担が少ない反面、税務署からの信頼性は青色申告より低くなりやすい傾向があります。

特に以下のようなケースでは、白色申告者は調査対象になりやすいと言えます。

  • ・事業規模が大きいにも関わらず、簡易な帳簿しかつけていない
  • ・売上や経費の計上根拠となる領収書、請求書が不十分である
  • ・事業用と個人用の支出の区別が曖昧な点が多い

白色申告者であっても、日々の記帳と書類の整理を徹底することは、税務調査対策として非常に重要です。

青色申告と白色申告の「税務調査対応」の違いを比較

万が一、税務調査の連絡が来た場合、青色申告と白色申告では準備や対応の負担にも違いが出てきます。

調査時の準備・対応の負担:両者の違い

項目 青色申告者 白色申告者
調査前の準備 複式簿記の帳簿、貸借対照表、損益計算書など一式を整理。すでに整理されているため比較的容易。 簡易な帳簿と収入・経費の証拠書類を整理。日々の整理を怠っていると準備が非常に大変。
調査官からの質問 帳簿が整理されているため、質問への根拠を提示しやすい。 帳簿が簡易なため、取引内容の根拠を細かく質問される傾向があり、回答に時間がかかる。
不正・ミス発見リスク 記帳が詳細な分、重大な不正が見つかりにくい。ミスは発見され得る。 記帳が簡易な分、売上の除外や経費の架空計上といった不正が発見されやすい。

青色申告者は日頃から緻密な記帳を行っているため、調査官に対し「申告内容の裏付け」をスムーズに行えます。

一方、白色申告者は、簡易な帳簿の裏付けを一つ一つ求められるケースが多く、対応の負担が増大しやすいのです。

記帳レベルと不正発見リスクの関係性

税務調査で最も問題となるのは、意図的な所得隠しや経費の水増し(不正)です。

青色申告で複式簿記を使っている場合、資金の流れが「仕訳」という形で全て記録されています。

例えば、私的な支出を「経費」として計上しようとしても、帳簿上で不自然な流れが発生しやすいため、不正の抑止力として機能します。

しかし、簡易な記帳の白色申告では、一つ一つの取引の整合性を確認しにくいため、調査官はより疑いの目を持って、不正の可能性を徹底的に探ることになります。

税務調査を乗り切る!青色・白色申告者が福岡で取るべき対策

申告方法に関わらず、福岡の事業者の皆様が税務調査を不安なく乗り切るために取るべき対策は共通しています。

申告方法に関わらず重要な「日常からの記帳・証拠書類の整理」

税務調査で否認されるリスクを最小限にするには、日々の業務の中で以下のことを徹底することが重要です。

  • 事業用とプライベートの資金の厳格な区別:私的な支出を事業経費にしない。
  • すべての経費の証拠書類(領収書、請求書など)の保存:いつ、誰に、何のために支払ったかを明確にする。
  • 日常的な記帳:取引が発生したらすぐに記帳を行い、帳簿の正確性を保つ。

これは青色申告者だけでなく、白色申告者にとっても最も重要な税務調査対策となります。

税務調査の「連絡」が来たら、福岡の税理士にすぐに相談すべき理由

税務調査は、調査官の質問への対応や資料の提出など、専門的な知識と経験が要求される場面が多くあります。

特に福岡で事業を行う皆様にとって、税理士に相談することには以下のようなメリットがあります。

  • 専門家の同席による安心感:調査官とのやり取りを税理士が代行・サポートすることで、精神的な負担が大幅に軽減されます。
  • 不適切な指摘の回避:調査官の指摘が税法上誤っている場合、税理士が専門知識をもって毅然と反論し、不当な課税を回避します。
  • 事前の準備の最適化:調査前に提出資料や対応方針を税理士が整理し、調査当日の流れを円滑にします。

青色申告者であっても、白色申告者であっても、税務調査の連絡が来たら、まずは顧問税理士、または税務調査に強い税理士事務所に相談することが、成功に導く第一歩となります。

まとめ:白色・青色申告の特性を理解し、税務調査対策はプロにお任せを

この記事では、白色申告と青色申告の違いが税務調査のリスクにどのように影響するかを解説しました。

  • 青色申告は、記帳方法によって複式簿記と簡易簿記の2種類がありますが、必ずしも複式簿記が義務付けられているわけではありません。ただし、複式簿記で記帳している場合は帳簿の信頼性が高く、税務調査のリスクが相対的に低い傾向があります。
  • 白色申告は記帳が簡易な分、より詳細な裏付けを求められ、調査リスクが高まりやすい傾向にあります。

しかし、最も重要なのは「日々の正確な記帳と証拠書類の整理」です。

福岡で事業を営む皆様が、安心して本業に専念できるよう、税務調査対策は専門知識を持ったプロにアウトソーシングすることを強くおすすめします。

当事務所は、福岡の企業・個人事業主様の税務調査対策を徹底的にサポートし、お客様の不安を解消します。

PREV
無申告はどうバレる?税務署が把握する仕組みと調査リスクの実態| 福岡版
NEXT
税務調査対象になる確率を解説。調査内容、頻度をわかりやすく解説