税務調査に入られる確率は?個人でも10年なしはあり得る?売上規模の目安も解説| 福岡版

監修 有馬 誠治

福岡で事業を営む企業や個人事業主の皆様にとって、「税務調査」という言葉は、不安や緊張を伴うものではないでしょうか?

「どれくらいの確率で調査に来るのだろうか?」
「個人事業主だけど、10年も調査が入っていないから大丈夫?」

この記事では、そんな皆様の疑問を解消するため、税務調査の確率に関する国の統計データを紐解きながら、
個人事業主の調査頻度の実態、そして調査に入られやすくなる具体的な要因を分かりやすく解説します。

この記事を読み終える頃には、税務調査に対する漠然とした不安が解消され、「今、何をすべきか」という具体的な行動が見えてくるはずです。

そもそも税務調査とは?

税務調査の目的と種類

税務調査は、提出された確定申告が税法に基づいて正しく行われているかを確認するため、税務署が行う検査です。
主な目的は、納税者が適正に納税義務を果たしているかをチェックし、誤りや不正があれば是正指導を行うことです。

調査には、以下の2種類があります。

 

税務調査の種類と特徴
種類 特徴
任意調査 納税者の同意に基づき行われる一般的な調査です。

大半の調査がこれにあたり、日時や場所の調整が可能です。
強制調査 裁判所の令状に基づく調査で、悪質な脱税が疑われる場合に国税局査察部(マルサ)が行います。

 

通常、皆様が遭遇するのは「任意調査」です。
日頃から適切に準備していれば、過度に恐れる必要はありません。

税務調査の対象となる期間。時効とは?

税務調査で確認される期間は、基本的には直近の3年間です。

しかし、申告内容に仮装・隠蔽などの悪質な不正が疑われる場合や、過去に大きな誤りが判明した場合には、7年間までさかのぼって調査対象となる可能性があります。

長期間の調査がないからといって安心せず、過去の申告書や帳簿も大切に保管しておくことが重要です。

国税庁データから考察。税務調査の「本当の確率」

税務調査の確率は、事業者の種類や売上規模によって大きく異なります。

ここでは、国税庁が公表している統計データ(直近では主に令和4事務年度)をもとに、調査の傾向を分かりやすく解説します。

統計から見る法人と個人事業主の調査割合

国税庁が公表している実地調査の件数と申告件数(令和4事務年度のデータなど)を比較することで、事業者が調査を受けるおおよその割合(目安)を把握できます。

 

法人と個人事業主の調査割合
区分 調査割合(概算) 備考
法人 約2%程度 申告件数約300万件に対し、実地調査件数約6.9万件
個人事業主 1%未満 申告件数約545万件に対し、実地調査件数約2.2万件

 

※申告件数、調査件数は概算であり年度によって変動します。

※この割合は、全体的な傾向を示す概算であり、特定の事業者が調査を受ける確率を断定するものではありません。

このデータから、法人であっても年間の実地調査の割合は約2%程度

個人事業主においては1%未満と、比較的低いことが分かります。

「毎年必ず調査がある」というものではないため、過度に恐れる必要はありません。

確率を分ける「選定基準」とは?

税務署は、限られた人員と時間を効率的に使うため、やみくもに調査対象を選ぶわけではありません。データ分析や情報収集に基づき、以下の基準で「調査の必要性が高い」と判断した事業者を選定します。

  • 申告漏れが多い業種・事業規模:過去の統計から不正が多いとされている業種。
  •  

  • 過去の申告内容との大きな変動:売上や利益が急増・急減している。
  •  

  • 同業他社との乖離:業界平均と比べて著しく利益率が低い。
  •  

  • 内部・外部からの情報:第三者からの情報提供(投書など)がある。

 

個人事業主が「10年間税務調査なし」はあり得るか?

個人事業主からの「10年間税務調査がないけど大丈夫?」というご相談は少なくありません。

結論から言えば、10年間どころか、

生涯一度も調査に入られない個人事業主も存在します。

調査が入らない=安心ではない理由

長期にわたり税務調査がない場合、以下の2つの理由が考えられます。

  • 申告内容に特段の疑義が生じていない:適正な申告が行われており、税務署のチェックで問題なしと判断されているケース。
  •  

  • 小規模で調査の優先順位が低い:売上規模が小さい、あるいは複雑な取引がなく、調査による追徴課税の額が少ないと見込まれ、優先順位が低いケース。

 

しかし、調査がないからといって、過去の申告に問題がないとは限りません。

もし申告内容に誤りや不正があった場合、最長7年さかのぼって追徴課税されるリスクは常にあることを忘れないでください。

個人事業主の売上規模による調査の目安

具体的な調査の目安については公的なデータはありませんが、長年の税務の経験から、一般的に以下の傾向があると言えます。

 

個人事業主の売上規模による調査の目安
売上規模(年間) 調査の傾向 対策の重要度
3,000万円未満 比較的低い。簡易的な書面調査で済むことも多い。
3,000万円〜1億円 調査対象となる可能性が上がる。
特に利益率が低いと疑われやすい。
1億円以上 法人並みに調査対象となる可能性が高くなる。 最高

 

売上1,000万円を超え、消費税の納税義務が発生したタイミングなどは、税務署の関心が高まりやすいポイントの一つです。

「税務調査確率」を上げる5つの要因

日々の事業活動の中で、税務調査の確率を上げてしまう、つまり税務署の「注意を引いてしまう」具体的な要因を見ていきましょう。

1. 申告内容と事業実態の大きな乖離

最も注意を払われるのが、「売上をごまかす(除外)」「経費を水増しする」といった行為です。

  • ・売上の入金先が事業用口座と個人口座に分かれている
  • ・プライベートな支出を事業の経費として計上している
  • ・在庫の計上を過少に行っている

 

これらはすべて、調査で指摘される典型的なポイントです。

2. 現金商売が多い業種と高額な売却がある場合

現金の流れが把握しにくい現金商売(飲食店、美容院、小売店など)は、売上除外が疑われやすく、特に調査の優先順位が高くなりがちです。

また、不動産や株式など高額な資産の売却があった年や、相続・贈与に関連する申告を行った場合も、調査に入られる確率が上がります。

3. 過去に指摘事項があったか、消費税の還付申告があるか

過去の調査で申告漏れや誤りが指摘された場合、再調査の対象になりやすいです。

多額の消費税の還付申告(売上よりも仕入れにかかった消費税が多い)を行った場合、その還付が適正かを確認するため、高確率で調査が入ります。

【福岡で対策】税務調査の不安を解消する準備と行動

税務調査の確率を下げる、あるいは調査が入っても慌てないためには、日頃からの準備と、適切な専門家との連携が不可欠です。

調査の確率を下げる「日頃からの準備」

税務調査で最も重要視されるのは「証拠書類(証憑類)」です。日頃から以下の点を徹底しましょう。

  • 帳簿と証憑の整合性:帳簿の記録と、領収書・請求書などの日付や金額が完全に一致していること。
  •  

  • 経費の明確化:「事業に必要な経費」と「プライベートな支出」の区別を明確にし、安易な計上は避けること。
  •  

  • 現金管理の徹底:現金商売の場合、日々の売上や現金の残高を正確に記録すること。

 

税務調査の事前通知が来たら「まず税理士に相談」

税務署から「税務調査を行いたい」と連絡が来た場合、決してご自身だけで対応しようとせず、すぐに顧問税理士に連絡してください。

税理士は、皆様の申告内容を把握しているだけでなく、調査の立ち会いや交渉を代行できます。経験豊富な税理士が同席するだけで、税務署とのやり取りがスムーズになり、不当な指摘や重加算税を課されるリスクを大幅に下げることができます。

福岡で信頼できる税理士と連携し、冷静に対応することが、税務調査を乗り切るための最大の防御策です。

まとめ:税務調査に備えるなら、福岡の税理士にアウトソーシングを

税務調査の確率は全体としては決して高くありませんが、特定の要因によってその確率は高まります。

特に、個人事業主で長期にわたり調査がない方も、過去の申告内容に問題がないか、この機会にチェックが必要です。

「税務の不安から解放され、事業の成長に集中したい」

「日頃の帳簿付けや証憑整理が煩雑で、税務調査の備えまで手が回らない」

そうお考えの福岡の経営者・個人事業主様は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

福岡の地域特性や税務署の傾向を理解した税理士が、日頃の記帳指導から税務調査対策、そして万が一の調査対応まで、皆様の事業を強力にサポートいたします。

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