個人事業主も対象!税務調査がやってくるタイミングと事前対策| 福岡版

監修 有馬 誠治

「税務調査は会社だけ」と思っていませんか?

確定申告をしている個人事業主も、もちろん税務調査の対象です。

この記事では、「いつ、どんなタイミングで税務調査がやってくるのか」という多くの事業主が抱える不安を解消し、福岡で事業を営むあなたが今すぐ始められる具体的な事前対策を分かりやすく解説します。

税務調査の基本:個人事業主も例外ではありません

税務調査とは、納税者が行った申告内容が正しく計算されているかを確認するために、税務署が行う手続きです。

調査の種類(任意調査と強制調査)

種類 特徴 対象
任意調査 原則として事前通知(電話)がある。納税者の同意のもとで行われる。 一般的な個人事業主や中小企業
強制調査 裁判所の令状に基づく抜き打ち(査察/マルサ)。強制力あり。 脱税が強く疑われる極めて悪質なケース

通常、個人事業主の皆様が経験するのは、日程調整が可能な「任意調査」です。

過度に不安になる必要はありません。

調査の対象期間(原則5年、不正7年)

税務調査が入る場合、調査対象となるのは原則として過去3年分または5年分の申告書です。

ただし、意図的な不正や隠蔽(脱税)が疑われる場合は、最大で7年間までさかのぼって調査される可能性があります。

日頃から適正な記帳を行うことが、遡及期間の拡大を防ぐ最も重要な対策です。

【いつ来る?】税務調査がやってくるタイミングと確率

税務調査はすべての事業主に均等に入るわけではありません。

国税庁は収集した情報をもとに、効率的に「確認が必要な事業者」を選定します。

調査が入りやすい「時期」の傾向

税務調査の時期に法的な決まりはありませんが、一般的に調査件数が増える傾向がある時期があります。

・時期の傾向:7月〜11月頃

国税庁の人事異動が7月に行われるため、調査官が新しい体制で動き出す7月以降に増加する傾向があります。

・「何年に一度」の目安:3年〜10年に一度

申告額や業種によって大きく異なりますが、優良な申告をしている事業者でも、10年以上調査がないと選定の対象になりやすくなると言われています。

調査対象となる「売上・利益の目安」(個人事業主のライン)

「売上がいくらになったら調査が来る」という明確な基準は公表されていませんが、一つの目安として「消費税の課税事業者」になるラインが注目されます。

・年間の売上:1,000万円超

前々年または前年の売上が1,000万円を超えると消費税の課税事業者となり、税務署からの注目度が上がります。

・所得のライン:300万円〜500万円以上

売上から経費を差し引いた「所得」が安定して高い水準にあると、調査の対象になりやすい傾向があります。

税務署がチェックする「調査のトリガー」(選定理由)

税務署はAI分析や外部情報(金融機関、取引先など)を用いて、不正の可能性が高い事業者を絞り込みます。

特に個人事業主が注意すべき「狙われる理由」を見ていきましょう。

現金取引が多い業種(飲食店、美容室、小売業など)

現金でのやり取りが多い業種は、帳簿と実際の売上の間にズレが生じやすく、売上除外(売上隠し)の温床になりやすいと見なされます。このため、常に調査の優先度が高くなります。

申告データからの不自然な変動

  • ・売上や利益率の急激な変動:前年と比べて売上が急増した、あるいは同業種と比較して利益率が極端に低い(または高い)場合。
  • ・多額な経費計上:毎年変動が少ない経費(例えば消耗品費や外注費)が、特定の年だけ不自然に増えている場合。

プライベート資金との混同(公私混同)

個人事業主の場合、事業用口座と個人用口座を分けていないケースが多く、「公私混同」が最も指摘されやすい論点です。

  • ・事業用経費として計上している支出の中に、個人の生活費(家族旅行費、個人の趣味の費用など)が含まれていないか。
  • ・事業用通帳から多額の現金が頻繁に引き出され、使途が不明になっていないか。

福岡で始める!個人事業主のための最強の事前準備

税務調査への対応力は、日々の準備で決まります。

特に多忙な個人事業主の皆様は、以下の2点を習慣化しましょう。

日々の記帳と証拠書類の整理術

税務調査は、「証拠(書類)」と「帳簿」が一致していることを証明する場です。

以下の書類を常に整理しておきましょう。

  • 必須書類:売上台帳、総勘定元帳、仕訳帳
  • 証憑書類:請求書、領収書、契約書、納品書(特に高額な取引、外注費、交際費)
  • 資金の証拠:事業用通帳の明細、事業用クレジットカードの明細
  • 電子データ:電子帳簿保存法の要件を満たした方法で適切に保存すること(福岡でも必須です)。

【事前準備チェックリスト】

チェック項目 準備しておきたいこと
通帳の分離 事業用口座と個人用口座を完全に分けているか?
経費の根拠 経費計上したものが事業に必要だった理由を説明できるか?
証憑の保管 領収書や請求書は、欠けなく7年間保管されているか?
棚卸し 年末の在庫や仕掛品を正確にカウントし、記録しているか?

福岡の税理士に依頼するメリット

税務調査の連絡が来てから焦るのではなく、日頃から税理士に依頼することで、調査への耐性が大幅に向上します。

  • ・安心感の向上:税務調査の連絡が来た際の対応窓口を税理士に一本化できます。
  • ・論点の整理:調査で指摘されやすい箇所を事前にチェックし、是正しておくことができます。
  • ・当日の立会い:調査官からの質問に対し、専門家として論理的に反論・説明を行います。

まとめ:福岡で安心できる税務調査対策を

個人事業主にとって税務調査は、事業を続けていく上で避けて通れない可能性があります。

しかし、不安に感じる必要はありません。

大切なのは、本記事で解説した調査が来るタイミングを理解し、日頃から正確な帳簿を作成するという、シンプルな対策を徹底することです。

福岡の個人事業主様の税務調査対策、申告書の適正化は、私たち専門家にお任せください。

万全の準備で、安心して事業に専念できる環境づくりをサポートいたします。

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